いろいろな分野でPDCAサイクルという考え方が使われています。例えばメーカーでは製品の品質を向上させるため、教育やスポーツの世界では成績を上げるため、食品や料理の場合はより美味しくて魅力的なメニューを提供するために日々、試行錯誤をしています。PDCAサイクルというと少し堅苦しい感じがしますが、要はただ作るだけでなく、評価、改善、試行錯誤を繰り返してより完成度を上げましょう、過去に作ったもののレベルの底上げもしていきましょうというごくごく当たり前の考え方です。

 そしてこのPDCAサイクルを回す為には、4つの行為全てを同じ人(や組織)が行うのがより好ましいということもよく知られています。例えば、人気レストランのシェフであれば、自分でレシピを作り(P)、調理をし(D)、味見をして(C)、レシピの見直し(A)もします。料理の人気を決めるのはお客さんですが、舌が確かなシェフであればPDCA全てを行い、より料理の味を良くしていくことができます。

 ですがシェフが味音痴であったら、あるいは人のレシピの通りの料理をするだけのアルバイトだったらどうでしょう?。恐らく、何十年かかっても、最初に作ったレシピから味が良くなることはないでしょう。いたるところに『いわゆる危険な道路』が存在・放置されているのは、まさにこのPDCAサイクルが回らない悪い例と全く同じ原因によるものです。道路の安全を維持する、危険であれば安全なものに置き換えていくという当たり前のことが進まないのは、C(評価)とA(改善)の2つが欠如しているからなのです。

 大きな事故が起きると、必ず十分な道幅とガードレールが設置された歩道が必要で、その為には新たな用地買収と工事費用が必要で、実際に安全が確保されるまでには長い年月がかかるといった話になりますが、そういった考え方はP(計画)とD(実行)に極端に偏っています。大きや予算を付けて、とにかく作りはする。でもC(評価)とA(見直し)をすることがほとんどないので、対策に手をつけられない多くの出来の悪い物(道路)はそのまま放置されます。

 この悪循環を解決するには大きく2つのことが必要です。

 1つめは誰かがC(評価)とA(見直し)をすること、できればその誰かは作る人(PとDをする組織)と同じが良いのですが、しばらくは期待できないので私がこのページでC(評価)とA(見直し)をしていきます。

 2つめはC(評価)を元に合否判定をし、『否』の場合には使用(運用)を停止することです。車には車検制度、運転免許には更新制度があるように、道路にも検査制度があるべきです。私はとりあえず『道検』と呼ぶことにします。定期的に検査を行い、合否の判定をし、また検査基準の見直しも常にしていくべきです。さらに検査の合否とは別に、大きな事故が起きた場合にも一定期間運用を停止するべきです。いわゆる免停ですね。こういったことを法整備も含めてしていかない限り、何十年かかっても危ない道路は放置され続けるでしょう。