歩道が狭くなっている踏切って多いですよね。この写真は東馬込にある霜田踏切ですが、ちょうど歩道が無くなるように踏切の部分だけ道幅が極端に狭くなっています。

 この踏切は交通量が少なく近くに線路を跨いでる道もあるので、さほど問題ではありませんが、次の写真のように車両の交通量も多く歩行者も多いのに、歩道が狭い踏切もあります。

 ここは人見街道の久我山駅付近の踏切です。先ほどの霜田踏切もそうですが、遮断機や警報機は鉄道側の敷地に設置されているので、もう少し外側にずらすことはできます。そうすれば歩道の幅を広げることは可能です。ですので、歩道が狭い原因はスペースが足りないせいではありません。

 さらに次のGoogleストリートビューの場所のように、鉄道の両側に道路がある様な踏切の場合は、遮断機や警報機はいくらでもずらす事ができます。その道路が続く限り10mでも20mでも歩道の幅を広げることが技術的には可能です。

 広めの歩道を設置することは技術的、スペース的にはいくらでも可能です。にもかかわらず、ほとんどの踏切で歩道が狭いのはなぜでしょう?。

 例えば、このGoogleストリートビューの踏切の車道の両側に幅10mの歩道ができたとします。車道の幅が2mだとすると全体の幅が22mの踏切ということになります。歩行者にとってはとても渡りやすい、ありがたい踏切となるのですが、おそらく鉄道会社としてはあまり歓迎できないのだと思います。踏切のスペースが広いということは、それだけ安全に気を遣わなければならない範囲が増えることになります。しかも踏切部分はどうしても線路の内側に溝があるので、通常の歩道ではつまずかない人や車椅子、三輪車などが、安全に渡りきれないことも生じます。

 運転手の負担や安全面を考えると、鉄道会社としては踏切はできる限り数も少なくしたいし、踏切を利用する人や車も少ない方がいいのでしょう。もっとはっきり言うなら、踏切は無い方がいい、ただ車両の場合は迂回路を確保しないと現存する踏切を廃止するわけにもいかず仕方無く残している。人の場合は踏切以外に鉄道橋や地下道を利用できるケースが多いのでなるべく踏切を使って欲しくない。

 踏切の歩道が狭い理由を一言で言うならば、『歩行者は踏切を渡ってほしくないと鉄道会社が思っているから。』です。残念ながらそれが現実です。

 ただ、それでいいのでしょうか?。特に開かずの踏切では踏切が閉まってる間に多くに人や自転車がたまり、踏切が開くと踏切の両側から向かい合って一斉に押し寄せ、すれ違う時には車道にはみ出します。鉄道会社にとっての安全も大事ですが、歩行者、自転車、車両にとっての安全も重視されなければいけません。その為には踏切に必要な歩道の幅の基準が必要です。要するに落とし所ってやつです。鉄道会社にもここは折れてもらわないと困ります。

 『踏切前後の道路の歩道の幅の2倍』

 これぐらいが必要ですし、標準、スタンダード、あたり前になって欲しいです。

 ただ、踏切前後の道路の歩道の幅も十分ではありません。先ほどのGoogleストリートビューを引用した箇所で、鉄道の両側に道路があれば(中略)踏切の歩道の幅は無限に広げられると記しましたが、その両側の道路の線路側に歩道がないとそもそも成立しません。嫌なオチですね。