山岳地域で道路を建設する場合、道路の平な部分を確保するために、山側の斜面を削ってのり面を作るか谷川を浮かして橋桁をつけるかしなければなりません。いずれにしても道路の断面に対して山側の削る三角形と谷川の埋める三角形の部分に何らかの施工が必要となります。これら三角形の面積は道路の幅が2倍になると4倍になってしまうので、単純計算で工事をする体積も4倍になってしまいます。

 トンネルも、地下鉄銀座線のように上から掘って蓋をするような工法でない限り、円型の断面で掘っていくので、道路の幅が2倍になると掘る作業量は4倍になってしまいます。幅の広い道路1本よりも半分の幅の道路2本を作る方が工事量は少なくて済むのです。例えば日光いろは坂は上りと下りが別ルートでそれぞれ一方通行ですし、高速道路も平野部では上り車線と下車線が並んでいても山間部では少し離れたところを走っていて、トンネルや橋も別々です。

 道路を作る際の費用面で、特に条件が厳しい場所で一方通行の道路2本の方が有利であるということは間違いありません。条件がさほど厳しくないところでも優劣が入れ替わるとは考えにくいので、わざわざ対面通行の道を作る理由は、少なくとも費用面では無いということになります。